映画『牛久』の作者トマス・アッシュ、かれの代理人弁護士の馬奈木厳太郎、そして映画配給会社代表の小林三四郎が、本日、4月15日13時、馬奈木の属する東京合同法律事務所で、記者会見をするという。
4月12日に日刊SPA! ウェブ版に掲載された織田朝日の記事 「私は映画『牛久』に騙された」外国人収容所での隠し撮り、出演者が怒るワケ(https://nikkan-spa.jp/1822641)に反論するためだそうだ。
織田記事に載った、出演者の一人ルイスさんの告発は「虚偽」だと主張するつもりらしい。
しかし、ルイスさんはぜんぜん嘘なんか言っていない。
自分の経験と心境を率直に伝えているだけだ。
(なお筆者の柏崎は、このブログで別の出演者について証言してきたが、ルイスさんも2018年以来支援してきたので、かれの事情も少なからず知っている。)
ルイスさんの証言の信ぴょう性を補強するために、筆者が知っていることを急ぎ書いておこう。
アッシュは支援活動の費用を他人にどっぷり依存していた。
これは噂話でもなんでもなく、アッシュ自身が柏崎に堂々と語ったことである。
このことは、アッシュがいつも入管収容者にカネを配っていた、というルイスさんの証言と整合する。
そしてついでにいえば、アッシュは他人からもらったカネを使って、入管収容者に恩を売り、自分の映画に出るよう仕向けていたのかもしれない。
今日、アッシュらを取材する記者さんは、以下のことも質問してみたらどうだろうか?
1 ルイスさんの証言
まず、ルイスさんの告発の内容を確認しておきたい。
かれは難民であること、入管に収容されたことだけではなく、日本の警察が事実無根の偏見にもとづいて元配偶者と離婚するように仕向けたことも、社会に伝えたかった。
そのことを映画で取り上げるとアッシュは口約束したので、かれは2020年末までに出演に同意した。
ところが今年1月に、映画の国内上映が発表されるに至っても、その約束は実現されなかった。それでルイスさんは我慢の限界に達し、アッシュに騙されたと判断したのである。
これだけでも、倫理的にはじゅうぶん問題のあることだと思うが、くわえて、別の興味深い証言もある。
アッシュは面会にくるたびに、収容者に「面会ボランティアたちはダメだ」「私はあなたを助けることができる」「あなたの声は世界に届く」などと言っていたという(織田記事1ページ)。
つまりアッシュは、他の支援者たちを貶めながら、自分は特別な利益をかれらに提供できると吹聴していたのだ。
支援者が多くの場合に無力であることは否定しないが、当事者を口車にのせて都合よく利用しようとするアッシュにはいわれたくない。
しかもルイスさんによれば、アッシュは「面会に来るたびに被収容者たちにお金を配ってい」たのだという。
ふつうボランティアによる差入れは、寄附金など他人のカネが財源なので、領収書などが残るようなしかたで物資などを入管収容者に提供する。
カネをそのまま渡すことはほとんどない。もしそうする場合は、自分のさいふを痛めてやるだろう(柏崎もそうだ)。
しかしアッシュは「面会に来るたびに」収容者にカネを配っていたというのだ。
これは今回、柏崎もはじめて知った。
自分の映画に出演させるため、収容者に恩を売るのが目的だったのだろう。
それでも自分のカネでやるなら、倫理的にはどうかと思うが、他人に文句をいわれる筋合いはないのかもしれない。
だが、アッシュが自分自身のカネを配っていたかどうかは、非常に疑わしい。
かれは支援活動のための金銭を他人にどっぷり依存していたからである。
2 アッシュが柏崎に話したこと
以下は、2020年5月25日、柏崎がアッシュ自身から直接に聞いたことだ。
この日は、ある人(このブログで書いてきた映画の出演者)が、牛久入管から仮放免される日だった。
かれを柏崎は手伝うつもりだったが、アッシュがかれのために車を出すというので、それに柏崎は同行。
というか、アッシュは大きい車(ハイエース)をレンタルしたものの運転に自信がないというので、柏崎が運転を代わった。
運転中、アッシュが助手席で話すには、車のレンタル費用は、某大学の某教員に頼ったという。
その教員は、かれのクレジットカードをアッシュの支援活動のために使わせてくれるそうだ(カードの使い方として問題だが、そこはいま問題ではないので措く)。
アッシュはまた車内で、教会からの支援活動費の提供額が減ったことを嘆いていた。
どういう手続からは知らないが、教会からも支援活動の名目でカネを提供されていたようだ。
アッシュが属する教会は、港区の聖オルバン教会(St. Alban's Anglican-Episcopal Church)。聖公会系だ。
ちなみにこの聖オルバン教会、アッシュが映画の出演者とトラブルを起こしていることを知っていながら、問題だと考えていないらしい。
このことを柏崎は、この教会の難民支援活動に携わっていた支援者の一人から聞いた。その人は、この教会の活動のしかたに疑問をもち、距離をとるようにしたという。
このときは、柏崎は「へーそうなの」くらいに聞いていた。
アッシュ自身が金持ちではないだろうから、どこかにかれの支援活動費の出どころがあるのは、当然、推測できることだ。
しかし今考えると、アッシュは支援の名目でカネを他人に援助されながら、それをどちらかといえば自分の映画撮影の費用として利用していたというべきではないだろうか。
3 ルイスさんは嘘をいっていないことと、アッシュが他人のカネを映画作りに使っていた疑惑
このように、アッシュは支援活動費を他人にどっぷり依存していた。
これはアッシュがみずから柏崎に話したことであり、嘘だとシラを切ることはできない。
そしてルイスさんは、アッシュがいつも入管収容者に気前よくカネを配っていたと証言している。
つまり、ルイスさんの証言は、柏崎が知っている確たる事実と整合する。
かれが嘘をいっていないという印象が、より強まるのではないか。
くわえて、柏崎が知る事実と、ルイスさんの証言とを総合すると、こういえるのではないか。
つまり、アッシュは他人からもらったカネを使って、入管収容者に恩を売り、自分の映画に出るよう仕向けていたのではないか? と。
もしそれが事実なら、なにからなにまで、とんでもない話である。
だれかこのことを、今日の記者会見でアッシュに質問してみては?